山林竹田更良記

思いつきを。

漬物石

誰がために生きるのか

己がために生きるのか

何のために生きるのか

それを知るために生きるのか?

失われてしまった

力がない

でも、という強さがない

感じている

頑張るためにはまず頑張らなくてはならないと

許すためには許し

愛するためには愛する

ちゃんちゃらおかしい

どうでもよい

苦痛なく死にたい

  郊外に行くと空の広さに驚く。

  私は首折れた都会人の子であるがために、人によって囲われ煙に彩られた空しか見たことがなかったからだ。小学生の時、祖父母の家から帰るとき、疲れたふりをして車の中で伏せていたが、実はあれは泣いていただけというのは秘密だ。帰るのが惜しくて涙の出るほどほど美しい空だった。

  ジイヤジイヤ鳴くセミに、せらせら流れる川沿いを優雅にふわり飛ぶハグロトンボ。ひんやり甘いスイカ。こんな夏の日の空は、たまらない。ありふれた感じ、でもやはりそれがよい。果てしない空をでっかい入道雲の船がゆったりと進んでゆくのを眺めているだけで心が満たされる。雲と空だけの、美しさだけの世界だ。大した感動は生まないが、心に澄んだ感じを与える。なんと優しいのだろうか。娯楽のように感動に縛り付けられることもなく、感情の落差に苦しむこともない。なんと有情なことだろう。

家政人現る

  最近、刃物が怖くなった。包丁など持っていると、尻がヒンッとなる。包丁で野菜を切っていると、自分の指を切る幻覚が見えて気が休まらない。どうやら自分で研いだために包丁の切れ味というものが実感されてしまったようだ。全く料理の修行が捗らない。これでは家政人の三本柱、掃除洗濯料理の一本が欠けたままになってしまう。

  それにしても、私は男であるだけでなく、ガリガリ丸刈りである。ミイラ。とてもじゃないが家庭的な感じは受けない。人見知りだし、女性が苦手である。果たして、私とともに生きようと思ってくださる素敵なバリキャリウーマンの方は現れるのだろうか?

  不安で眠れぬ夜は、まだまだ続くようだ。

  

絵画世界

いやあ、愉快愉快!

彼はニッコリしてふたつえくぼ。

めんたまをぐるぐる。

いやあ、愉快愉快!

僕もニッコリしてひとつえくぼ。

めんたまをぐるぐる。

絵の中の僕らは、客を驚かす。

おや!目の向きが変わった!

ちょっとちょっと、手が開いたよ!

絵にとらわれて動けないまま、僕らはその日暮らし。

表現しきれず言葉はなくて、朽ちるその日を待っている。

館長も知らない僕らの秘密。

作者さんだけは知っている。

 

やじろベェ

腕を切ったり薬を飲んだりできることはたくさんあるけどそれはひまつぶし。何もない苦痛から逃げられるから最高だ。あるいは作業。無心と快楽が得られるものだ。あるいは生き甲斐とも言えるだろうか?どちらも私とは無縁なものだ。中庸の苦しみは半殺し、やじろべえの気持ち。こくりこくりと揺れながら心が落ち窪んでゆくものだ。いっそ落ちたい、片腕を失うとも。そうも思い切れない悲しいところにあるのだ。ただただ、片腕が落とされるのを待ちわびる日々。八方塞がりここに極まれり。

無視できない存在

  都会と田舎のなんと違うことだろう。

  ああ疎ましくて仕方がない。あなたとわたしの間の相克。君がどうかは知らないが、僕は気にして、神経をいちいちすり減らしているのだ。何十何百のあなたとの相克。散り散りになって途方にくれてしまう私は過敏か?お前のことだぞ、虫!