山林竹田更良記

思いつきを。

  郊外に行くと空の広さに驚く。

  私は首折れた都会人の子であるがために、人によって囲われ煙に彩られた空しか見たことがなかったからだ。小学生の時、祖父母の家から帰るとき、疲れたふりをして車の中で伏せていたが、実はあれは泣いていただけというのは秘密だ。帰るのが惜しくて涙の出るほどほど美しい空だった。

  ジイヤジイヤ鳴くセミに、せらせら流れる川沿いを優雅にふわり飛ぶハグロトンボ。ひんやり甘いスイカ。こんな夏の日の空は、たまらない。ありふれた感じ、でもやはりそれがよい。果てしない空をでっかい入道雲の船がゆったりと進んでゆくのを眺めているだけで心が満たされる。捨象され雲と空だけの、美しさだけの世界だ。大した感動は生まないが、心に澄んだ感じを与える。なんと優しいのだろうか。娯楽のように感動に縛り付けられることもなく、感情の落差に苦しむこともない。なんと有情なことだろう。

  あと1ヶ月が待ち遠しい。